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釜石医師会報

No.326 平成28年10月号

野球の楽しさが、今回の会報を読むと伝わってくるのではないでしょうか。エースの座を巡って舌戦を繰り広げる両選手。会議の最中でも聞こえてきますし、移動中のバスの中では、又違ったトークが炸裂します。我々応援団もその会話を楽しみに参加している部分もあります。前夜祭はさらに楽しく、司令官から飲みすぎ注意が出るくらいの盛り上がりを見せます。ただここ数年試合中の応援が少しトーンダウンしており、応援団の強力な声援を熱望します。是非皆さんも来年の野球大会の応援団に参加してみましょう!

道又 衛

巻頭言

やればできる ということ
平野 春人

 「先生この薬、最近記事になっているからのみたくないんだけど」。ここのところの外来で時々聞かれる言葉である。当初は時間を費やして必要性について説明していたが、そのうちに画像その他の所見で絶対に必要な患者さん以外は、気持ちを尊重して処方しない場合も少なからず出てきているのが実情である。
 本来このような記事に対しての反論が出てきて当然と思われるが、未だ組織的な対応は見られていないようである。おりしも厚生労働省から医療費の動向が発表され、2015年度の医療費が41兆5千億円に達して前年より1兆5千億円増加したということである。もしかしたら政府の暗黙の了承の下で医療費削減につながる記事が書かれているため、表だっての反論ができないのかなどと勘ぐってしまうところでもある。これまでにも官民あげて医療機関への要求—ゾロ品(当然ジェネリック医薬品のことではあるが)の使用などーが強まっているところでもあるが、これまでのところどの位の削減効果があったのか是非検証を進めていただきたいところである。
 ただ一方ではその影響もあってか自分自身とすれば医療行為の見直しのきっかけになっているのも事実である。これまでにもまして検査や投薬などについて立ち止まって考えるようにし、それが時には最新の医学の知識の一端に触れることにつながってきているし、無駄を省くことにもなっている。この点においてはやるように仕向けてくれた記事と患者さんに感謝である。
 無駄と言えば自分の担当分野として睡眠時無呼吸症候群という病気がある。30年前医師に成り立ての頃初めて担当させていただき、今と違ってCPAP療法もなく、苦労して診断つけても治療法がほとんど無くほとほと困った思い出がある。現在でも薬はほとんど効果が無く、CPAP以外では体重を落とすこと、いわゆる無駄な肉を落とすこと、が唯一といっていいくらいエビデンスのある治療法である。患者さん方にもそれぞれお話しして、了解が得られた方には自院で体組成計に毎回記録をつけて、筋トレとダイエットに励んでいただくようにしている。その中には効果が出てCPAPから離脱できた患者さんと離脱できなくとも無呼吸指数が改善した患者さんも出始めている。まじめに取り組んでくれてその治療効果がみられるというものは実にうれしいものである。やればできるんだよという言葉をこれからもお話ししていくとともに、裏をかえせばやらなければできないということが正確な表現だなと、風呂上がりで最近丸くなってきた下腹をなでながら考える今日この頃である。

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