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釜石医師会報

No.301 平成24年8月号

釜石線を走るデゴイチ

平成24年6月、東日本大震災からの復興を願う観光キャンペーンの一環で蒸気機関車(SL)がJR釜石線で運行されました。「デゴイチ」の愛称で親しまれる「D51」の498号機が客車5両を牽引(けんいん)し、汽笛を鳴らしながらの力強い走りは勇壮でした。この日は、本運転に向けた試運転最終日でしたが、既に沢山の人がカメラを片手に今か今かと「デゴイチ」の到着を待っており、何とか、カメラを構えた沢山の人の後ろから撮影する事が出来ました。

「JR釜石線、釜石市駒木町付近、大渡川鉄橋にて」

釜石医師会事務長 川崎 浩一

巻頭言

新しい胃癌検診「ABC検診」について
小笠原内科クリニック 小笠原善郎

日本は昔から胃癌が多い国であり、今やその原因の最有力がピロリ菌であるということが分かってきました。最近の研究ではピロリ菌の除菌に成功した人は胃癌になる危険性が1/3になるそうです。

ピロリ菌による慢性胃炎が胃癌の原因となっている、ということを利用した新しい検診の方法である「ABC検診」が一部の地域や事業所で始められています。血液検査で「ピロリ菌抗体」と「ペプシノーゲン」を調べることにより「ピロリ菌感染の有無」と「慢性胃炎の程度」を調べます。この方法によって、胃癌の危険度を判定することが可能であり、胃癌の危険度が低い方から順にA,B,C,Dの4つのグループに分けます。ピロリ菌感染が無く、胃粘膜の萎縮も無い人がA群でピロリ菌に最初から感染していない人と考えられ、胃癌になることは極めて稀なグループです。

これまでの胃癌検診は、30~40歳以上のすべての人を対象に、まず胃のX線の検査を行って、異常がみつかった人に内視鏡での精密検査をするのが一般的な方法でした。「ABC検診」では血液検査で胃癌の危険性が有るグループと無いグループに分け、危険性の有るグループに絞って内視鏡やX線の検査を行うことができ経済的にも効率的と言えます。

現時点では潰瘍の無い患者さんはピロリ菌感染による慢性胃炎があっても除菌治療に健康保険は使えず自費での治療となりますが、この検診により自分がピロリ菌に感染していることを知ることができ、除菌することにより将来胃癌になる確率を確実に減らすことができます。

当院でも毎年数人の胃癌患者が見つかります。このような検診が普及することで効率的に胃癌およびその予備軍を見つけ出し、また若い人も含めて除菌治療を勧めることにより、この地域の胃癌を激減させることが期待できると思います。

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