背景色
文字サイズ標準

釜石医師会報

No.295 平成23年8月号

嗚呼 巨星 地に墜つ 悲しいかな

渥美 進先生、渥美 久子先生は、夫々私の母校仙台二校、弘大医学部の後輩ですが、何時もご指導を戴いていた尊敬するご夫婦でした。進先生は土門 健並みの芸術家で、その撮影現場では日の光、雲の動き、風の起こす木々のざわめきにさえもご自身の感性が納得されるまで何時間でも待つプロの写真家でした。
 格言に La vida es la acumulacion del "ahora"(人生は"今"の積み重ね)という言葉がありますが、お二人とも、一歩一歩と着実に人生を歩まれ、スポーツと芸術とを愛し、患者さんに優しかった偉大な巨星でした。
 数少ない進先生の遺作品の中から、先生の大好きだった八幡平の写真を選びました。
この思い出深い岩手の静粛な地にどうか安らかにお眠りください。合掌

岩井利男

巻頭言

釜石医師会 会長 小泉嘉明

3月11日午後2時46分、東日本大震災が発生した。その約30分後に大津波が釜石、大槌地域を襲った。死者、行方不明者合わせて釜石で約1400人、大槌で約1500人の尊い人命が奪われ、地域は壊滅的な被害を受けた。我々の仲間もその例外ではなく、行方不明の先生が2名、奥様、スタッフを失った先生もいらした。病院、診療所の被害も甚大で、大槌、鵜住居地域では一瞬にして無医村状態になるという考えられない事態が生じてしまった。全国各地よりDMATが駆け付け、その後日赤チームを初め多くのJMATが釜石、大槌地域に集結し、活動を開始した。

釜石医師会は震災後直ちに釜石市の災害対策本部に災害医療本部を設立、本部長を寺田尚弘先生にお願いし、市職員と共に災害医療の指揮を担当して頂いた。医師を含めた医療関係者の意思統一に奔走、また、歯科医師会、薬剤師会の協力も得て、全国から大志を持って集まって来てくれた人々の力を結集させえた事は感服に値する。そして使命を果たしてくれた医師を始め、支援してくれた多くの人々に対しては感謝に絶えない。

釜石医師会の災害を受けた先生方、辛うじて難を逃れた先生達が全員、日頃の診療の姿勢そのままに、多くの困難の中から立ち上がっていく真摯な姿は、真の医療人であると心の底から尊敬の念を強くした。

地域医療再生の為、全員の力を結集し、復旧ではなく、以前にも増して医師会活動を中心とした医療の新たなる構築を目指さなければならないと考える。会員一同のなお一層の奮闘を心よりお願いしたい。

がんばろう!釜石医師会!!

(C) Kamaishi Medical Association All rights reserved.