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釜石医師会報

No.368 令和5年10月号

安比高原の朝焼け

初秋の朝、目が覚めホテルの窓から安比高原CC方向を眺めたら朝靄で下界は見えず空は赤く染まってた。しばらくすると朝靄が消え下界の景色みえ、朝焼けの赤色が薄くなっていたが、幻想的で思わず窓越しで写真を撮った。
その数分後には山の向こうの赤色は消えていた。

堀耳鼻咽喉科眼科医院  堀 晃

巻頭言

薬剤供給に思う
平野内科医院 平野 春人

最近診療を行なっての頭痛の種の一つが薬剤供給の不安定さにあります。ご存知のように2020年に相次いだジェネリック医薬品会社の一部で不適切な製造や品質管理の不正が発覚したのがことの始まりです。それがきっかけとなり製薬会社の検査や点検を行なったところ多数の製薬会社でも問題が見つかり、業務停止や製造停止に至りました。そこから多くの医薬品の製造供給の停止や出荷調整が行われるようになり、それに加えてCOVID-19感染症のパンデミックなどが重なり原材料の輸入が滞っているのも製造に支障をきたしているようです。呼吸器領域について述べれば、この感染症に伴い大量の鎮咳薬や漢方薬が使用され、生産可能な製薬会社に製造能力を超えた発注が入るため出荷調整を行わざるを得なくなっているようでもあります。

話は飛びますが以前に読んだ書物で、スペイン風邪のようなこれまでのパンデミックがなぜ鎮まっていくかとの理由の一つにウィルスそのものの種の保存という作用があることを述べていました。ウィルスも初めて出会った宿主に感染した際に、細胞の核に侵入して子孫を残していくわけですが、勝手がわからないとその宿主自体の生命を奪ってしまうこともあるわけです。ただそうなると子孫を残せなくなるので、次第に毒性を弱めて感染しても宿主の生命は維持できるように自分を変えていくのだそうです。ウィルス個々ではもちろんそのような能力が無いが集合すると方向性を定めて進んでいくのではないかとも述べられており、なかなか哲学的な面もあり面白い考えです。

さて自分たち人間も個々の叫びはごく小さいものですが、まとまれば大きな声また力にもなりうるわけでもあります。先のウィルスではありませんが、このような危機的状況においては声を一つにして政府機関や製薬会社のみならず、自分たちもできることをやっていく必要があると感じます。まず一歩目は不必要な投薬を避けることを改めて見直していくことでしょうか。

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