毛越寺曲水の宴(ごくすいのえん)
庭園の遣水の流れに乗った盃が自分の前を通り過ぎるまでに和歌を詠み、盃の酒を呑みほす中国古代の王朝に始まった天子の行事。栄華を誇った奥州藤原氏が2代に渡って造営に力を注ぎ、中尊寺を凌いだと言われる毛越寺に、曲水の宴の遺構が残されていた。毎年5月第4日曜日には、平安時代の装束でまさに曲水の宴が催されている。
小笠原 和法
岩手県では胃がん検診といえば胃透視健診が主に行われています。検診を受ける年齢になるとその後毎年受けるわけですが、中にはバリウムを飲むのが嫌な方や透視台の上でうまく動けないため受けない方がいます。また、慢性胃炎のない方は毎年受ける必要がないのですが真面目に毎年受けている方もいます。
数年前から胃がんリスク検診として「ABC検診」が行われるようになりました。この検診では血液検査のみでピロリ菌感染および慢性胃炎の状態がわかります。そしてこの検診の最も有意義なところは一生に1回受けるだけでいいというところです。
ABC検診によりピロリ菌の感染が見つかった場合には内視鏡検査を勧め除菌療法をします。
除菌療法によりピロリ菌が消失すると
①胃がんの発症が50~30%以下に低下する可能性がある
②若年者の方がより有効性が高い
③高齢者でも胃粘膜の老化を阻止するのに有用
④胃がんの早期発見に有用(胃粘膜がきれいになり胃がんが発見しやすくなる)
などが報告されています。
近年、この胃がんリスク検診(ABC検診)を導入する自治体が増えています。行政主導や地区医師会(東京都目黒区、横須賀市など)が地域で導入し行政に移していく形などがあります。また、主要健保組合や1、000カ所を超える多くの健診機関の取組みも広がっています。
また、長野県の某高校の生徒全員にピロリ菌の検診を行ない、ピロリ菌陽性者全員に除菌療法を勧め、保護者の承諾が得られた生徒にピロリ菌除菌療法を行なった、わが国で初めての成績が信州大学から報告されました(2011)。最近では中学生の生徒全員に無料でピロリ菌の検診を行なっている地域も報告されています (2014)。
胃がんは今でも日本人のがんの中で上位を占めています。胃透視健診は必要ですがABC検診も併用することでもっと効率のよい検診ができるのではないでしょうか。自治体や企業がこの検診を取り入れることで将来胃がん撲滅、引いては医療費の削減につながることが期待されます。釜石市でも早急に導入されることを望みます。