震災前の8月に釜石港で行なわれた海上花火大会
会場で行なわれる花火は陸上と異なり、水面への照り返しがさらに見る目を楽しませてくれる。吹いて来る潮風は納涼気分を盛り上げてくれるのも海上故である。
釜石のぞみ病院 小笠原 和法
日本人間ドック学会と健康保険組合連合会は健診の新基準を策定し公表した。 2014年4月4日に公表された新基準では、血圧、BMI、血糖値、コレステロール値、クレアチニン値などの27項目に新基準が挙げられている。
偶然にも6月24日(火)20時からBSフジで放映されたプライムニュースを観た。テーマは人間ドック“新基準案”であった。日本人間ドック学会副理事長 山門 實先生と大阪大学大学院医学系研究科教授 楽木宏美先生が出席されそれぞれの立場で意見を述べられた。山門 實先生は人間ドックや健診を受診された150万人を対象に、既往歴、現病歴、検査値などで異常がないとされた個体を選別し、その後に他の関連検査項目における異常値の有無で二次除外をした最終的には約1万~1万5千人のスーパー健康人の集団の検査値であると説明した。
血圧については収縮期血圧88~147mmHg、拡張期血圧51~94mmHgが正常域と述べられた。楽木宏美先生は“高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)”を改定し、2014年4月に“JSH2014”を発行、高血圧の定義を若干緩くし、診療室血圧で140/90mmHg以上を高血圧、それ未満を正常域血圧に変更したと述べられた。収縮期血圧が140~147 mmHgの健診者はどのように判定するのかと山門 實先生に質問したところA判定をつけるがコメント付きになるとのことであった。
コレステロール値も大きく変更された。年齢、性別ごとに分けられたが、かなり正常域が緩和され、特に学会基準とかけ離れたのはLDL-コレステロール値であった。そのため動脈硬化学会から反発されているのが現状である。
新基準により、血圧降下剤やコレステロール降下薬服用者が減ると医療費削減にもつながると考えられているようである。
新基準ではA判定された健診者が、従来の各疾患ガイドラインや疾患判別値では異常と診断されるケースは少なくないと考えられる。この新基準は疾患判別値とは別物とはいうものの、新基準案を公表する前に各学会などとの十分な検討・協議をすればこのような問題は発生しなかったし、混乱もなかったと考えられるが、山門 實先生は当面変更する予定はないと断言した。
縦割り行政の弊害をテレビ・新聞等でイヤというほど見てきたが、医療現場でも同様のことが起こりうることは非常に残念である。