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釜石医師会報

No.293 平成22年12月号

河原毛地獄・静夜

約8年位前に、秋田県の山伏岳、高松岳山行のときに泥湯温泉に泊し、河原毛地獄、大湯滝へと行きました。河原毛地獄は元鉱山だったところだけに、恐山より活発に亜硫酸ガスを噴出し荒涼たる岩山でした。新年号の表紙には?と躊躇しましたが、「正月や 冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし」の句の如く、地獄を見た方は極楽に行く事必定ですので、お許し下さい。

岩井 利男

巻頭言

「県立大槌病院とその周辺」
植田 俊郎

三陸沿岸大槌町の唯一の病院である県立大槌病院はがんばっている。岩田千尋院長を含む3名の内科常勤医と応援医師による外科(火曜、木曜、金曜)、整形外科(月曜、水曜)、眼科(木曜、金曜)、循環器科(隔週金曜)、皮膚科(隔週水曜)、産婦人科(隔週火曜・水曜)という体制である。病床は60床(病床利用率90%以上)、救急外来もある。守備範囲も広く、北は山田町、南は釜石市鵜住居(うのすまいと読みます。)といったところであろう。まさに奮闘中である。
 さて大槌・釜石の医療の面白いところは病院と開業医のスムースな連携であろう。大槌病院の場合、①毎週木曜日の午後、2名の開業医が病棟回診、1名の開業医が内視鏡検査を担当する。②病院医師不在の場合、臨時の病棟回診を行う。③当直医が早朝に帰るため、診療開始時間までの空白時間を4名の開業医で交代担当する。④インフルエンザ予防接種の問診は2名の開業医が週2回病院内で行っている。さらに、⑤岩手医大学生の病院実習の際、開業医が担当する歓迎会を開催している。⑥病院の忘年会、送別会、歓迎会に開業医も出席する。⑦医局食料の確保を3名の開業医が行っている。などである。
 この県立大槌病院における勤務医、開業医の公私のお付き合いは、紹介、逆紹介、在宅対応などを円滑に行うことができる源であり、そしてなぜか沿岸に少ない医療資源を有効に活用する一つの方法でもあると考えている。
 気候温暖、降雪少なし、環境良好、春の山菜、夏のウニ、秋のサンマと松茸、冬のアワビと浜の情。三陸良いとこ一度はおいで。

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